最近、「手の指がしびれたり痛い」と訴える女性が増えており、「手根管症候群」が関心を集めています。
手根管症候群ってご存知ですか? 最近、手の指の痛みやしびれを訴える女性が増えており、手根管症候群は中年の女性に多く見られる病気です。手根管とは、手のひら側の付け根にある、じん帯と骨で囲まれた長さ3cmくらいの正中神経が入っているトンネル状の空間です。手根管症候群とは、手根管の中が何らかの原因で圧力が高まると、手根管を通っている神経が、その圧力で圧迫されて、親指・人差し指・中指・薬指など手指に、痛みやシビレ、ピリピリした感覚などの症状をいいます。手根管症候群は、そのままにしておくと、物をつかみにくくなったり、ネクタイが結びにくくなったり、ボタンがかけにくくなったりします。また、手根管症候群は、特に夜間に痛みを強く感じることが多くあります。
手根管症候群は原因は、はっきりしないことが多いのですが、手首の骨折や脱臼による手根管の変形や、腱鞘炎と同じで、1日中キーボード操作をしたり、草取りや皿洗いなど、手作業を頻繁に行う場合にも起こります。腱鞘炎と違う点は、圧迫され傷んでいる正中神経を軽く叩いた場合に、指先に向かって放散痛(実際に悪い場所に痛みが起こるのでななく、その場所に関連した部分に痛みがおこること)が出現するといった、特徴的な痛み方があります。また、人工透析を長年受けている人は、透析によりアミロイドという物質が、手根管に溜まることが原因で発症する場合があります。さらに、中年女性の妊娠中や出産前後、閉経前後にも起こりやすいといわれています。
手根管症候群の診断は、知覚検査や電気生理学的検査などを行なって診断をしますが、簡単な自己診断法を二つ紹介しましょう。 まず、手根管のあたりを叩くとシビレのある指まで痛みが走ります。二つ目は、手関節を掌屈したまま(手首を下に曲げたまま)、或いは背屈したまま(上に曲げたまま)にしていると、1分以内に手指のシビレが強くなります。また、手根管症候群を見つけるのに、ファーレン・テストというものがあり、手首と指の力を抜いて手首が垂れ下がる状態を作り、1分以内にしびれが強く感じる場合は、手根管症候群が疑われます。いずれにしても、専門医の診断を受け、正しい治療を受けましょう。
手根管症候群は、原因が明白でなく、比較的に症状が軽い場合は、保存的治療を行います。保存的治療とは、炎症等を抑える薬物の使用から、低周波の電気治療や、温めたり冷やしたりといった原始的な治療方法のことで、手術以外の治療法です。それ以上動かさない方が良い場合は、手首をサポーターなどの固定装具で固定したり、症状によっては、短期型の非ステロイド系抗炎症剤や、消炎鎮痛薬が処方され、症状が慢性化した場合には、ステロイドを手根管に注射したりします。それでも、好転せずシビレや痛みに耐えられない場合や、親指のつけ根の筋肉に萎縮がみられ、筋力が落ちた場合には手術を行なうことになります。手根管症候群の手術は、手首の手のひら側を切開して神経の圧迫を解消する方法が一般的です。病院によっては、内視鏡を用いた手術を行うもところあります。具体的には、手首を数cmほど切り、そこから手根管内に内視鏡を入れて、靱帯を切り離す手術です。保存的治療が良いか、手術が必要かは、医師と良く相談して決めることが大切です。